この記事にたどり着いたということは、あなたは心が疲れたと感じていますね?正体の知れない、薄暗い不安を一蹴してくれるような一文を探してネット上をさまよっているのでしょう。
「60%くらい心が疲れた」と自覚している場合、実際心は120%疲れています。そのサインを見逃してはいけません。きちんと受け止めて、正面から対処していきましょう。
今回のテーマは、そんな「心の疲れ」です。本記事を読めば、きっと精神的な疲労を改善するヒントが見つかるはず。温かいお茶でも飲みながら、のんびりとお読みください。
目次
心が疲れる原因3つ
きっと誰もが心が疲れた経験をしたことがあるでしょう。もちろん私にも心が疲れて何も考えられなくなるような経験があります。今思い返してみれば、心が疲れていたのは下記の3つの場面がほとんどでした。
- 自分に対して怒りを向けられている
- 常に恐怖を煽られている
- 身体が疲れている
ここでは、心が疲れる原因について考えてみたいと思います。
自分に対して怒りを向けられている
自分に対して怒りをぶつけられているというのは、予想以上にしんどい状態。怒りという感情は強烈で、それを自分に向けられているというのは非常にストレスのかかることだからです。
例えば仕事でお客さんからクレームをもらった。こちらに落ち度があるならまだしも、完全な言いがかりである。相手があなたに怒りを向けているのは「あなたなら怒りをぶつけても大丈夫だ」と思っているからだと言えます。
このような場合はひどい心の疲れを感じても仕方ありません。
常に恐怖を煽られている
常に恐怖を煽られている状態というのも、ストレスを感じやすいと言えるでしょう。
例えば、ワイドショーなどが「政府が〇〇という政策を検討している、国民の生活は〇〇(悪い方向)になるだろう」などと毎日毎日放送する、というのがこれに当たります。
他人が別の意図を持って(視聴率を上げたい、不安を煽ることで物を買わせたい、など)無責任に煽る不安というのは、際限がありません。
相手が不安になればなるほど、自分が得をするからです。不安な状態が長く続くというのは、出口が見えない迷路で歩き続けるようなものですので、心はどんどん疲れていきます。
身体が疲れている
身体の疲れも心の疲れと深い繋がりがあります。身体が疲れるとやる気も低下して、マイナス思考になるからです。
例えば仕事が忙しく、ほとんど休めない状態が続いた場合、眠い、脚が痛い、腰が張っている…という身体の不調はそのまま心の疲れに繋がっていくでしょう。
スポーツをした際など前向きな身体の疲れの場合「身体は疲れたけれど心は元気」ということもあるかも知れません。しかし、仕事での疲れなど後ろ向きな原因による身体の疲れの場合は、心も同時に疲れていくと言えます。
心が疲れるとどうなるの?
では、心が疲れると人間はどうなってしまうのでしょうか。さっそく結論から言ってしまえば、下記のような症状が表れます。
- 不安になる
- イライラする
- 心が落ち着かなくなる
- 他人を疑ってしまう
- 攻撃的になる
- マイナス思考になる
- 憂鬱な気分になる
- 物事に集中できない
- ミスが多くなる
- 眠れなくなる
- 朝起きた瞬間から疲れを感じる
言い換えれば、上記の症状に当てはまる場合は「心が疲れている」と言えるでしょう。
心が疲れていると、すぐに不安になったり他人を疑ってしまったりと、視野が狭くなります。また、集中力が欠けるのでミスが多くなり、生産性も下がるでしょう。
そのような自分の状態を見て、さらに気分が憂鬱になりマイナス思考になる…心が疲れると、マイナスのループから抜け出せなくなってしまうのです。
心が疲れたときの対処法3つ
心の疲れを回復させるためのキーワードは以下の3つ。
- セロトニン
- ドーパミン
- オキシトシン
これらの物質には、それぞれ下記の表のような役割があります。
セロトニン | 精神を安定させ幸福感をもたらす |
---|---|
ドーパミン | 熱意をもたらす |
オキシトシン | 不安や恐怖が和らぎ感染症予防に役立つ |
心が疲れた時には、これらの物質を上手にコントロールするようにしましょう。
日光を浴びる
日光を浴びると、幸福ホルモンであるセロトニンを増やすことができます。セロトニンが増えると精神が安定するだけでなく、ストレスにも強くなるというメリットも。
また、セロトニンは日光を浴びる以外にもビタミンB6やトリプトファンを含むものを食べることでも増やすことが可能です。ビタミンB6はにんにくやマグロに、トリプトファンはチーズや牛乳、バナナなどに多く含まれています。
心が疲れたと感じたら、日光を浴びるようにして食べ物にも気をつけてみましょう。
自分の好きな音楽をリピートして聴く
自分の好きな音楽をリピートして聴くとドーパミンを増やすことができます。ドーパミンは、やる気を出したり、喜びを感じさせる役割のある物質です。
ポイントは、自分が好きな音楽を聴くという点と、リピートするという点。ドーパミンを増やすには好きではない曲では意味がありません。
また、繰り返し聴くことで、脳に喜びを感じさせることができます。心が疲れたときは、お気に入りの一曲を何度も繰り返し聴いてみましょう。
人のために料理を作る
人のために料理を作るという行為は、オキシトシンを増やすのにおすすめ。オキシトシンは「幸せホルモン」「信頼ホルモン」とも呼ばれており、不安や恐怖心を減らしてストレスを軽減することができます。
また、オキシトシンには感染症を予防する効果も。オキシトシンは人のために料理を作るという行為以外にも、恋人とハグをしたり、家族団欒をすることでも増やすことができます。
心が疲れたと感じたら、人とのつながりを意識してオキシトシンを増やすよう心がけてみて下さい。
心が疲れたときに読みたい本3選
今回は私が個人的に心が疲れた時に読みたい本を3冊選びました。
どの本も違ったアプローチで心の疲れを癒してくれると思います。気になる方は書店、図書館、Amazonなどを利用してチェックしてみて下さい。
高村光太郎『智恵子抄』
高村光太郎氏による、智恵子夫人への愛を込めた詩集。高村光太郎氏の詩は、耳を澄ませないと聞こえない、ささやきを汲み取って丁寧に並べているようで、読んでいるだけでその静けさが伝わってきます。
私が特に好きなのは、ゴシップや噂など、がやがやと煩い世の中に対抗して書かれた『或る宵』という詩。
最善の力は自分等を信ずる所のみにある
蛙の様な醜い彼らの姿に驚いてはいけない
むしろ其の姿にグロテスクの美を御覧なさい
我等はただ愛する心を味へばいい
(『智恵子抄』より)
現代のコンテンツは、内容が役に立つか立たないかで評価されています。しかし、役に立たつかどうかは別にして、言葉そのものを楽しむ時間があっても良いはず。『智恵子抄』はそんな風に思わせてくれる一冊です。
小池龍之介『それ、どうでもいい』
元浄土真宗僧侶である小池龍之介氏による、物事にこだわらない練習法について書かれた一冊。こだわりを捨てて気持ちを楽にするためのヒントがシンプルな文章で書かれているのが特徴です。
著者の言葉ひとつひとつが心に届くので、読んでいると、流れが詰まっていた心の川がさらさら流れていくような感覚になります。
心の疲れを癒して自分を見つめ直したいという方は、ぜひ読んでみて下さい。
多田将『宇宙のはじまり』
素粒子物理学者である多田将氏が、なぜ人間が宇宙に存在するのか?という問いに答えた一冊。
「もし月が地球からどんどん離れていったらどうなる?」「人間がいなかったら地球はどうなっていたと思いますか?」など興味深い疑問を、物理学の立場から解決しています。
本書を読んでいると、日頃の些事がどうでもよくなるでしょう。悩みがある場合も、悩みから意識が逸れますので不安から距離を取ることができます。
心が疲れた時に見ると癒される名言
ここでは、心が疲れた時に見たい名言をついてご紹介します。
誰にもノックされないなら、新しいドアを作ろう
ミルトン・バール
人を信じよ、しかし、その百倍も自分を信じよ
手塚治虫
最高の夢とは、目覚めている時に見る
チャールズ・ビルダーブルーム
人はそれぞれ事情を抱え、平然と生きている
伊集院静
心が全てである。あなたはあなたが考えた通りになる
ブッダ
常識とは18歳までに身につけた、偏見のコレクションのことをいう
アインシュタイン
心が疲れた時にやりたい「疲労蓄積度セルフチェック」
疲労蓄積土を客観的に測りたいという方は、厚生労働省による「疲労蓄積度セルフチェック」に挑戦してみてください。
所要時間は5分、下記の図のように疲労の度合いを知ることができます。
「疲労蓄積ケアのためのアドバイス」も見ることができますので、心が疲れた人は参考にしましょう。
心が疲れたら流れに逆らわないのが◎
心が疲れることは誰にでもあります。
しかし「疲れたな」と感じることはあっても、それを改善するために積極的に行動できる人は少ないのではないでしょうか。毎日仕事をしていたら、セルフケアなんて後回しになってしまいますよね。
私は心の疲れを感じたときは、ひたすら本を読みます。いわゆる癒し系の本ではなく、宇宙の本とか、詩集とか、関係のない本が多いですね。
さて、それはともかく、心の疲れを感じたら流れに逆らうことなく、できる範囲で休んでみてください。
白黒はっきり決める必要はありません。世の中には、白黒はっきり決められないことなどたくさんあります。
グレーの部分を、その都度折り合いをつけながら対処できるのが「大人」とも言えるのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。