
永遠のテーマかもしれないけど、日本人の英語力ってどうしたら上がるの?英語を学ぶ側だけじゃなくて、英会話講師にも原因があったりする?
今回は、こんな疑問に答えていきたいと思います。
私は以前、英会話講師として働いていました。英会話講師としてのキャリアは7年。今まで英会話業界を3社経験しました。
それぞれ「名前を聞けば誰でも知ってる大手スクール」「個人営業の地域密着型英会話スクール」「英会話以外の事業も行なっている中堅スクール」と、スクールのタイプは違いましたが、英会話業界については、それなりに詳しいかなと思います。
そんな私が感じるのは「日本人の英語力を上げるには、日本人英会話講師の英語力を上げる必要がある」ということ。
なぜならば、基本的に生徒の英語力は、教えてもらっている英会話講師の英語力を超えることがないからです。
今回は、元英会話講師の私が「なぜ日本人英会話講師の英語力は上がりにくいのか」という点について、当時の自分を振り返るイメージで考えてみます。
英会話講師の英語力が上がらない3つの理由

ここで言う「英会話講師」とは「日本人英会話講師」のことです。
私が英会話講師として働いた経験を振り返ってみると「英会話講師の英語力が上がらない理由」は3つあります。
- 日本人英会話講師は、仕事がたくさんある
- 日本にいるネイティブ講師はある程度日本語が話せる
- 「英語を話す力」と「英語を指導力」は別物
日本人英会話講師は、仕事がたくさんある

まず、英会話講師の英語力が上がりにくい原因としては、日本人英会話講師の仕事は「英語を教えること」だけではないことが挙げられます。
どういうことかと言うと、日本人英会話講師の仕事は基本的に「事務作業」「営業」「レッスン」の3種類が多いです。
アルバイトなどでレッスンだけを時間制で担当している場合は別ですが、社員でフルタイムで勤務している場合、英会話講師の仕事は多岐に渡ります。
もちろん会社によって違うと思いますが、私が今まで行なっていたレッスン以外の業務は、こんな感じです。
- チラシを折る、配る
- 問い合わせ対応
- 営業の電話
- 入会、休会、退会の処理
- クレーム対応
- 授業で使う資材の作成
- スクールの掲示物の作成
- 生徒さんのカウンセリング
- スクールの運営全般の管理
ざっと挙げてみても、レッスン以外の業務がこんなにあります。一方で、同じ英会話講師でもネイティブ講師の仕事は「レッスンをすること」がほとんどです。
つまり「ネイティブ講師=英語を教える人」「日本人講師=何でもやる人+英語を教える人」のような図式ができあがり、なかなか自分の英語力を上げること、指導力を上げることなどを考える余裕が少なくなります。
日本にいるネイティブ講師はある程度日本語が話せる

ぶっちゃけ、ネイティブ講師が日本で暮らすには、日本語ができないと相当不便です。
ネイティブ英会話講師のタイプには大きく分けて2パターンあります。
- 20代でワーキングホリデーを利用して日本に来ている
- 日本人と結婚して日本にいる
20代の若いネイティブ講師は「日本語勉強中」という人が多く、積極的に日本語で話したがります。
たまーに日本語が全く話せない人もいますが、そのような場合、日本で暮らすことはあまりにも不便で孤独なので比較的すぐに帰国というパターン。
日本人と結婚しているネイティブ講師は、さらに日本語が話せる率が高くなります。家庭で日本語を使っている講師も多く、簡単な日本語を話せる人も多いです。
前置きが長くなりましたが、英会話講師としてネイティブ講師と仕事をしていても、相手も日本語が理解できるので、こちらの英語が拙くても通じてしまいます。
特に日本人の配偶者のいるネイティブ講師は、日本人の話す英語のクセを完全に理解していますので、間違っていても「ああ、本当はこういうことが言いたいのだな」と想像して理解してくれるのです。
「日本語を全く話さないネイティブと英語を話すこと」と「日本語を話すネイティブと英語で話すこと」の難易度は実際かなり違うと思います。
「英語を話す力」と「英語の指導力」は別物

最後に、これは私が個人的に感じていることなのですが、日本人英会話講師は「英会話講師になること」がゴールになりがちです。
日本では「英語を話せる=かっこいい」という価値観もあり、英会話講師になりたい、英会話講師としてアルバイトをしてみたい、と思う人も多い。
しかし、英語を話す能力と、人の英語力を上げる能力は違います。
英語力が評価されて晴れて英会話講師になったなら、今度は人の英語力を上げる能力をつけなければいけません。
最近は「コーチングスクール」と呼ばれる短期間で結果を出すことを売りにしたスクールも増えており、私の主張が全ての英会話講師に当てはまるとは限りませんが、私が見る限り、英会話講師になったことで満足しきっている英会話講師も多いです。
特に現代では学生が留学で海外に行くことも珍しくなく「ちょっと英語が話せる人」は日本中にたくさんいます。
「英語が話せるから英会話講師になる」のではなく、英語が話せるのは当たり前で「さらに人の英語力を上げる能力がある」という点で日本人英会話講師がもっともっと選ばれるようになると、英会話業界や日本人の英語力も変わっていくのではないでしょうか。
英会話講師になる→それなりの英語力がある?


という声もあるかもしれませんが、過去の私を含め

決して「十分」ということはありません。
これからの時代は、英語が話せる日本人はどんどん増えていき、英会話講師になることのハードルも下がっていくでしょう。
しかし、だからこそ英会話講師は英語力を磨き続けなければいけないし、英語力に加え「指導力」もさらに問われるようになるのではないでしょうか。
日本人の英語力を上げるには日本人英会話講師の英語力を上げなければいけない

日本人英会話講師がネイティブ英会話講師よりも優れている点。
それは
日本語で理解させるための説明ができるところ
生徒の「分からない」に寄り添えるところ
です。
英語力では、どんなに頑張ってもネイティブ講師に勝てません。
しかし、英会話講師になってからも日々英語を勉強して、生徒がどうしたら英語が話せるようになるのかを考えて試行錯誤を繰り返していけば、
- 日本人英会話講師としての強み
- 英語力
- 指導力
の3つが活かせる「最強」英会話講師になれます。
学習者が英語を話すためのノウハウは世の中にたくさん出回っていますが、英会話講師がどうしたら英語力と指導力を磨くことができるのか、その情報は驚くほど少ないです。
大切なのでもう一度言います。
日本人の英語力を上げるには、日本人英会話講師の英語力を上げる必要があります。
英語力にはゴールがありません。だからこそ英会話講師の仕事は「面白い」のではないでしょうか。